公正さのためのインフラ

甲斐谷忍LIAR GAME』を読みましたです。で、ちょっとネタバレするけど、本論はこの作品についてではない……(が、おもしろいので読むがいいよ)。
ライアーゲームというのは、ナゾの組織がいたいけな貧乏人(……)をつかまえてやっているいかがわしいゲームです。基本的に、ゲームの事務局がプレイヤーに大金を貸し付けて、それをプレイヤー同士で奪い合い――騙し合いをさせる。トーナメントで勝ち上がっていくけれど、勝者は奪った金の半分を事務局に払えばドロップアウトできる。敗者は奪われた金を事務局に返済しなければならない。
さて、主人公のナオが言うには、このゲームは、儲かろうとするプレイヤーがひとりもいなければ、誰も損をしないゲームなのだ。誰も得をしないが。勝者が奪った金を敗者に再分配すれば、敗者が莫大な負債を抱えることはない。
けれど、ひとりでも、自分だけが儲けようとする人がいれば、あっさりと崩壊する。――ナオは、この「騙し合い」のゲームを「信じ合う」ゲームにできるか? と、いう話になるのかは、わからないけど……彼女は病気の父親がいるとはいえ、お金に困ってる風はなかったので、はじめから異質なのだよな、巻き込まれたのは偶然か、それとも?
まあ、それはともかくとして。
誰も、儲けようとしない人がいない世界は、どんなんだ、と、妄想する。
逆に、この社会で、不正に得する人が出ないように監視するシステム、公正な分配が行われるようにするためのシステムにかかるコストは、いったいどれだけだろう?
領収書とかの書類って、たしか、7年間保管しなければならないことになってるけど、そんなの保存しなくていい――それ以前に、そんな書類をつくらなくていい。分配はてきとーになるけど、分配のためのコストがかかってないから、もともとのパイが大きい。べつにみんな、てきとーなもんだと思ってるから気にもしない。給与明細なんて、もちろん、ない。税金は、気が向いたときに、払う。督促状は、もちろん、こない……。
どうだ? そういう世界。あたまが、ほわほわしてくるな……。そもそも、貨幣が機能するのかな……。
そうなると、ほわほわした世界でひとり勝ちするのは、かんたんだ。
……と、誰もが考える。……。
まあ、公正さのためのコスト、というものは、……んー、上がっていく、のか? 個人情報保護法で書類が増えたように。一方で、コンピュータを活用してコストを下げる余地は、まだある……が、技術的には余裕のあることが、なぜか、実現されていない?ような……。なんにしろ、バランスが悪い感じだ。それでもある面、豊かさそのものよりも、公正さ……つまり、他人が不正に得をすることを妨げることのほうを、求めてしまうことは、けっこう、多い?のかな。不正の模倣を防ぐ目的があるとはいえ。
で、さりげに昨日の話と関連しているつもりで書いてたけど、あれ、どこがつながってるんだ……?