ぐうたら

「そうです、セイラーのいちばんよいところは、彼がぐうたらであることです。セイラーはほんとうにぐうたらなんです」
 私は耳を疑った。自分がぐうたらであることを否定する気は毛頭なかったが、それが私のいちばんよいところだというのか? 私は手と首をぶんぶん振ったが、ダニエルは話をやめず、私がいかにものぐさであるか、口をきわめて褒めそやした。ダニエルはいまも、あれは最高のほめ言葉だったと言い張っている。
リチャード・セイラー行動経済学の逆襲 上』(ISBN:9784150505479



ちなみにこうつづく。

何でも、私がぐうたらだというのは、生来の怠けグセを吹き飛ばすくらい強く好奇心をかきたてる疑問しか追求しないという意味なのだそうだ。私の怠けグセを長所だと言ってくれるのは、ダニエルくらいのものだろう。