お茶くみ

二十数年ぶりに綾辻行人十角館の殺人』(ISBN:9784062758574)を読みましたの。〈新装改訂版〉よ。ぜんぜんまったくおぼえていない自信があったんですが、犯人初登場シーンで「あ、こいつだ」って思いました。忘れていたものを思い出した、という感覚ではなかったが。
刊行が1987年、作中が1986年、昭和61年である。昭和の男子大学生はインスタントコーヒーを飲むときにも女子をつかう!
ymd-y.hatenadiary.jp
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前に、戦後日本ミステリにおける女性の扱いについて書きましたが、昭和の終わりになってもこれなのかー、っていう……。新装改訂版あとがきで、著者ご本人もつっこんでましたが。
サークルの合宿みたいなものなんですが、女子がふたりいたのがひとり殺されてひとりになっちゃったあと、男子ひとりと厨房から出てきたので、あ、さすがに手伝うよね、って思ったら、「見張ってた」んだって。「見張ってただけ」なんだって! で、その次の食事の支度になっても、彼女、動揺してなかなか手早くいかない、それを、見張りの男が「塩はそっちだよ」「砂糖ならそっちだよ」とか声かけてくるもんだから、キレた。そりゃキレるよ、キレていいよ……。


ちなみに、森博嗣恋恋蓮歩の演習』(ISBN:9784062748223)では、こう。

男女がいる場面では決して率先してお茶など運ばない彼女である。そういったことは男性がすべきだと常々考えているくらいだ。だが、どうも練無の部屋では自分の方がより男性的なわけで、自然にお茶を淹れてしまうのだった。多少複雑な判断といえる。

(※練無(ねりな)君は男の子)(このシリーズは作中年代につっこんではいけません)
これはこれで「ジェンダーフリー」なわけではないがな。