問題ない

 暗黒時代に失われたものは、秩序だけではなかった。かつての西ローマ帝国では、教会が規範と教育をもたらしていた。しかしこの時代には、司教や修道院長の多くが金と権力に眼を奪われ、精神修養や教育には関心を示さなかった。司教同士の勢力争いが高じて、果たし合いになることすらあった。そういうときは剣ではなくこん棒が使われたという。聖職者なので、相手に血を流させるわけにはいかなかったが、頭をぶん殴るのは問題がなかったのである。

ジェイムズ・C・デイヴィス『人間ものがたり 石器時代から現代までのわたしたちの歴史』(ISBN:414081067X

 預流はかなり過激なことを考えて「しまった、心が汚れる、成仏から遠ざかる」と一生懸命思い直した。憎しみはいけない。人を殴るのは憎しみとは限らないのでセーフ。憎しみはいけない。

汀こるもの五位鷺の姫君、うるはしき男どもに憂ひたまふ 平安ロマンチカ』(ISBN:9784049122800

(※預流さんは尼さん)