「あのね、地球に山とか谷とかがなかったら、ぜんぶ海になるのかな、ってふと思ったのね」
「え、えっと……」
「けど、たしか、起伏がなければ雲が発生しないわけで、雨が降らない」
「えっと……」
「だからぜんぶ海になるっていうのはありえないんだよね、うん」
「……自問自答されちゃうと、僕の出番がない……!」
「そこで、だ」
「どこ!?」
「ふと思った、って、なんでふと思ったんだっけ?って、ふと思ったんだけど、どうだったんだっけ?」
「……えっ、それを訊く!?」
「春に厳島神社に行ったとき、海の中の大鳥居を見て、潮が引いた大鳥居を見て、そのあとにいったん抽象的なとこに思考が飛んで、そこから思いついたんだという気がするんだけど、いったいなんだったんだろう……」
「……知らんがな……」