あなたは、どんな空間が好きですか?

くうかん―あなたは、どんな空間が好きですか?』(安東孝一・企画+インタビュー)を読みました。
建築家やデザイナーなど24組に、「どんな空間が好き?」っていう抽象的な質問と、具体的な事例に基づいてどうやって空間をつくっているのかっていう質問をしています。
で、仕事のやり方としてはみなさん、そんなに大きな違いはないような……だいたい、人(クライアント)と敷地による、って言うんですね。でも考え方はずいぶん違う、どういうのが「自由」なのか、ってことが。

安東 個人的な興味も含めてうかがいたいのですが、倉庫のような空間を提供して後は間仕切りで、という「自由な」建築、高さがあってプロポーションのいいニュートラルな箱をつくるから後はご自由に、というのが最近の建築の方向にあると思うんですが…。
千葉学 それは逆に、あなたの自由は箱の中でできることだけと言っているようなものです。僕は、何が自由かを発見するぐらいのことをやりたいと思っています。箱を提供するのもひとつのやり方ですが、中は自由ですよというのは「逃げ」だと思います。つまり、自由を保障している境界がものすごく限定的になりますよね。僕は、街との連続の中にあるような立体化された地形をつくっているのだと思っています。

まあね、砂漠の真ん中10万坪、これ自由に使っていいですよと言われたところで、それが自由だと感じる人は少数派だろう(いないとは思わない)。なんにもないほうが自由だろう、って、空気や重力がなかったら困る。なんの制約もない空間などというものはありえなくて、つまるところいちばんの制約は人間の身体なのだけれど、身体がなければ真に自由な空間ができるのかといえば、こんなに意味のない自由はない、身体がなければ空間など要らないのだから。
私の好みでいえば、なんもない箱があってあとはご自由に、っていうのは苦手です。広すぎたり天井が高すぎたりっていうのも、暮らす場所としては避けたい。広いと困るというのは、広いとモノが増えすぎるという実務上の問題が発生するからでもありますが。床を収納場所と思ってしまうのはどういう心得違いなんだか。収納場所っていうか……整理整頓じょうずな人は、きちんとしまわないとものがなくなってしまうと思っているけど、整理整頓ベタな人は、しまってしまったが最後、なくなってしまうと思いこんでいるのだよ……。いまの部屋はけっこうな広さがあるので一度それで収拾がつかなくなりかけたのですが、一昨年から去年にかけてなんとかした。そしてまた整理しようとしている。なぜなら引っ越すからさ……!
って、決めたのは昨日だけど。
不動産屋行ったらあっさり決まってしまってびっくり。そしてインターネットから引っ越し一括見積もり依頼出したら3分後に電話がかかってきてびっくり。22時過ぎですよ……? 夜逃げにも対応できそうではないですか。
好きな空間に話を戻す。
居心地のいい空間っていったら、つまるところ、たんに慣れてる場所ってことになっちゃうのかもしれない……。なので、「自分の部屋」となれば、どんなところだろうと居心地がよくなっちゃうのかも。でもこれは、慣れというよりは、テリトリー意識というもんかもしれない。実家暮らしだった頃も、テリトリー意識が働いたのは自分の部屋だけだったような気がする。他にも他人に立ちいれさせてはいけない場所というのはあって、友達が遊びに来たときに入らせないようにしなければ、って意識はあったけど、自分の領域を守るというよりは、それが「家のルール」だったから、って感じだった。