「明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?」文字だから想像するほかないけれど、苗場さんの口調は丁寧だったに違いない。「あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」
梅田望夫『ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)』、読みました。前に、そのうち買うよー、って書いたら、梅田さんが、とっとと買えー、っていう念のこもった星を残していった(←違う(……と、思う))ので。
……。
にゃー、めんどくさがりでなまけものな若者(若いか? うん)で、すみません……と、口先で思うだけで、ほんとうに悪いとは思ってないけど。
なんなんだろう、この温度差、とか。
うーん、なんていうか……、
がんばってまで生きたくない、
というような。
実際にはもうちょっと、ちゃんと生きたいけれども。でも、そんなにせいいっぱいがんばらなくっても、生活できるし、おもしろいものもそのへんにいくらでもある、と、思っている。
甘いのか。
っていうか、タダ乗りしてるってことか。
好きなことを仕事にする難しさ。
私は、ひとと話をすることが嫌い、かつ、すっごく苦手で、たんなる事務的な用件でも苦手で、でも、仕事中にそういうわけにもいかないんで、「仕事だからー」って言い聞かせて、なんとかやってるのですけど、この「仕事だから」っていう威力は、けっこう強いな、と思う。いやなことをやるときに。
自分の好きなことをやるために、では、できない。
他の人に迷惑がかかるからとか、もっと直接的に、怒られるから、っていうのもあるけど。
「仕事だから」って言い聞かせてるときって、なんか、皮を被ってるのですね。会社員の。職業人の。社会人の。あんまり素の自分と密接に結びついてない。
だから、多少、傷つけられても平気ー、っていうような、図々しさを発揮できる。
でも、仕事が、自分のやりたいことだったら、よろこびが直にくるけど、ダメージも直にくるんだろう。そういう勝負は、こわくてできない。できないっていうか、やっぱり、やりたくない。ヘタレめー!
一方で。
多くの人々が、自分の好きなことをするようになったほうが、おもしろそうだし、それはそれでけっこう世の中はまわっていくだろう、とも思ってます。
で、ウェブの世界に、もっともっとくだらないものが増えていけばいいと思う。
私にとって価値がない、判断がつかないものがいっぱいになっていくほうが、私にとってもおもしろいって思うのです。なんでだか。
自分で決める
「言えるわよ。ためになることだからよーく聞きなさい。自分の不幸が売り物になるのは子供のうちだけなんだ。あんたが大人になったら、自分で生きてくしかないんだ。親がいようがいまいが関係ないんだ」(中略)
「これからあんたが考えなきゃいけないのは、何になるかってことなんだ。どんな仕事につくか。あこがれるだけじゃだめ。妥協するのも早い。望む仕事につくためには何が必要か、よーく考えて実現してくんだ。
仕事についたからって、まだゴールじゃない。ここは俺にまかせろって言えるだけの腕を磨くんだ。親なんてどうせ先に死ぬんだ。いい人生を送れるかどうかは、結局仕事で決まるんだよ」
「自分が納得できないことをして、他人の運命を変えてしまったら、それは持てない重荷になる。押しつぶされてしまうんや。自分が納得できることをやっての結果なら、いくら重たい荷物でも、なんとか持てるんや。それを忘れるな」
「どんな仕事をしてたって、代わりの人はいるよ。だって、いなくちゃ困るじゃない。自分が本当に大変で休まなければならなくなったとき、だれも代わってくれないなんて困るよ。本当に困る。代わりがいないのは、友達とか家族とか恋人とか、それだけでいいじゃない」(中略)
「でも、わたしは、自分が好きだからここにいるの。ほかに代わりがいるかもしれないけど、それでもここにいたいの。だから、いいの。代わりの人に取られないように、一所懸命やるの。(後略)」
彼は、自分の欲するものを知っている。それを欲する自分をごまかさない。一方で、望みをかなえるために嘘をつけば、その価値が損なわれることも知っている。
自分で決められない
「おまえは自分がなにを好きかもわからないんだろ」
「チャンスというのは望むものが手に入るかもしれない場合に使われる用語ですよ。ノンフィクション・ライターとして世に名を売りたいというのは、私の望みじゃない」
「じゃあ、なにが望みなんだ」
「さあ、それがわかれば苦労はしません」
――この世のすべてから見放されたと感じている男を狙え。目標を見失っている人間に、目標を与えてやれ。“これがおまえの目標であり、われわれはおまえを必要としている”と言ってやれ。その人間の主義、主張、思想などは関係ない。“必要とされている”というただそれだけで、彼はどんな犬よりも従順に動くだろう。人を操るには、洗脳する必要はまったくない。役割を与えてやるだけでいいのだ。彼はその安心感と、その安定を保つために、なんでもやるだろう。
模索中です
「本当に色々聴くし何でも読むね 幅広いのは良いことだ」
「――別に…
広いんじゃないよ 定まんないの」「…そーかい
それじゃあまだまだたくさん試してみるといい」「うん」
ずるずる人
ネットの世界に深くのめり込む内に、このままズルズルと引き籠もり生活にいくかの様に思われたが――彼はある日気が付いた。ネットから受身になる分には自由だが――自分からネット上に情報を発信するには、自分はあまりにも語る言葉を持たないという事に。
響野がとうとうと話す。「この男は私たちと同い年なんだな。見るところ、この男はずるずる人だ」
「ズルズル人?」久遠が聞き返す。何だそれは、と成瀬も眉をひそめた。
「ずるずる生きているんだよ」
「馬鹿馬鹿しい」成瀬は噴き出す。変なネーミングだ。「要するに決断を先送りにして、周りの空気に流されながら行き先を決めていくタイプだな。行きたくもない高校に通い、吸いたくもない煙草を吸い、やはりみんなが行くからという理由で名前も聞いたことのない私立の大学を卒業する。そうしてろくな志もないくせに会社員になって、ずるずると生活をするんだよ。退屈な日常に嫌気がさして、で、賭けごとに手を出して、またずるずると落ちていくタイプだ」
教育方針
- B主任
- 築港は確か明治時代やったんちゃいますか。父親の仕事関係の話をお子さんが熱心に聞くなんて、ごっつええ話ですな。
- 川本課長
- 結論から言えば、やっぱそのくらい小さい頃から洗脳が必要なんだよ!
- C主任
- これっていい話なんですか?
- B主任
- よその家庭の教育方針に口出しはようせんわ。
いい話、いい話。
「自助努力」をモットーとするからには、すべての行動は自分で責任を負わねばなりません。
「権利」と「義務」を考えて自己責任の元で行動するひよどり高校の生徒諸君は、もう一つのモットーである「自由」を謳歌して「闊達」にふるまうことができます。そのため、当校の校則は左記の一条だけです。
- 第一条
- 自分の尻は自分でぬぐう
何か間違ってる人々
しかし実践というなら、ミステリーを書いたり読んだりはまだ甘い、探偵ないし犯人になるのが本筋だと考え直した。とりわけ犯人にはえもいわれぬ魅力を覚え、当時殺したい人間も周りに二、三はいたものの、己の粗忽さにはいささかの自覚があったので、計画殺人は無理と判断し、探偵で我慢することにした。
「粗忽な探偵」もどーかと思う。
復讐代行屋って『仕事』は、口先や色気だけで務まるような甘いもんじゃありません。対象者の仕事はなにか? 役職は? 家族構成は? 独身か否か? 恋人はいるかいないか? 子供はいるかいないか? 精神的トラウマは? 肉体的コンプレックスは? などの様々な要素を分析して、本人にとって一番護りたいものがなんであるかを、刑事の洞察力と探偵の忍耐力で探り当て、その護りたいものを徹底的に容赦なく破壊し、いかに相手をいやな気分にし、いかに相手を不安がらせ、いかに相手に屈辱と恐怖を与え、いかに相手を絶望させるかという大変な『仕事』なわけですよ。
「だったら死ねば」
「そんなに今の自分が不満なら 死ねばいい」
「このまま退屈な日々を送って醜く老いていくと思ったら 僕はたまらなくなるんだ」
「だったら死ねば」
「暇つぶしバカにすんな、人生は死ぬまでの暇つぶしだ!」
「じゃあさっさと死んだらいいじゃない!」
死にませんよー。
ずっと、ずっと
ず――――っとやり続けりゃ一生だよ
三冊の書物には一つの思考が流れている。その歩みを振り返ると、ジェームス・ギブソンという人が、「生涯をかけて一つのことだけを考え続けた人」であるという印象が強く残る。ギブソンはアメリカという風土が育んだ「タフなサイエンティスト」だった。
自分を知ること
「君は明日死ぬのか」
唐突に言われて目を瞬く。
「え……え?」
「それが決定していないなら、これから自分の希望どおり生きればいい。そうしないなら、特に希望はないんだろう。ただの愚痴だ。つまらない話だ。馬鹿馬鹿しい」
「楽しくは、ないです。でも、仕事って……生きることって、楽しいものじゃないんでしょう」
「君がそう思うなら、君の仕事は、君が生きることは、そうなんだろうね」
「欲求は快楽から生じるんだ お前…… 毎日つまらないだろう」
好きなこと、好きすぎること
「同じ生きるなら好みで生きる方がいい」
ここでは、好きなだけ妄想に耽り、好きなだけ執筆に励むことができるのだ。
なんと素晴らしいことだろう。ランゾットはうっとりした。が、うっとりするあまり、さっぱり原稿が進まない。
公理、あるいは原理
すばらしい。虹の谷のひとびとは男女差がどうしたこうしたと、そういった小難しいことはいっさい考えない。働き者=すごいんだべ。証明おわり。
「たんに穴を掘って、そこに何があるかを見たいだけなんだ」