黒い保険の話

職場で保険の話をしていたら何やら黒い会話になってしまい、保険屋さんて性格悪くなんないかなあとたいへんよけいなお世話な心配をしてしまいましたが、保険屋さんは保険にかかってる人が健康で病気も怪我も事故もなく長生きしてくれたほうが儲かるので、その意味では黒くないですね、黒い会話してたどこぞの人たちのほうが黒いですね。いや、しかし。
「保険ってどうして歳とると高くなるんだろ」
「死ぬ可能性が高くなるからじゃない?」
「だってそこまで生きたらもうモトはとれてるでしょう」
「あー、それで保険屋は儲けてるんだ」
……というわけで、もうここまで払ってきてるんだし解約するのはもったいない、どうせもう死ぬだろう……っていうあたりにつけこんでるんだから、まあ、えげつないっすね。あと、自分のとこの保険に入ってない人はそこそこ病気になったり事故に遭ったりしてくれたほうが危機感つのって保険に入ってくれるよなあとか期待してたら黒いですよね。ってことを想像してる私がやっぱり黒いですかそうですか。
まあ……死亡保障ってのは、死なれたら困る人にかけるものだ、と、思うんだけど(困らない人だったら、早く死ね、ってことになってしまう……)、そうなると、その金額っていうのは、生きて果たす責任の重さともいいかえられるわけで、その額を決めるのは困らせる人なのか困る人なのかわかんないけど、なんぜんまんだとかの数字を見ながら、なんか、たいへんだよなあ……などと思う。まあ、他人事ですが。私は死んでも誰も困らせないから(少なくとも金銭的には)だいじょうぶ。
それ以前に私は保険というものが好きじゃないですけど。好きじゃないというか、高をくくるのが得意なので、いつか何か困ったことが起こるかも、ということが想像できないわけで、それに備えようなんて発想ができないですよ。いや、かも、なんて可能性の話だけじゃなく、このまま生きていけば歳をとる、というのは確実なのに、そのことも想像できない。このまま生きていけるっていうのも、ひとつの可能性にすぎないといってしまえば、それまでだけど。