シリアスに考えこむ


A「むー」
B「なに考えこんでるの?」
A「このあいだ、中の人が、気持ちが外から見てわかりやすいかどうかについて、ぐだぐだ言ってたでしょ」
B「うん。『さとい人は、なんとなく自分の気持ちはさとられないように防備しそうだし、にぶい人は、もれてることがわからずに、だだもれになるような気がする』」
AおがきちかLandreaall 15 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)』を読み返してたら、『DX(←主人公)がわかりにくいのは家族が敏感に察してやってしまうからだ』ってライナス(お友達)がイオンちゃん(妹さん)に文句いってるんだよ」
B「うん」
A「中の人は感情がおもてに出るほうがデフォルトだって前提で話してたけど、ライナスは出ないほうがデフォルトって前提だよね」
B「ああ、なるほどね……考えてみれば、ライナス説のほうがもっともらしいよね。わかってもらうことのほうが、重要なんだよね、とくに、子どもにとっては」
A「で、デフォルト、といえばさ……この時季になると、冷気ってものを感じるわけで、あったかい部屋の窓を開けると、あー、冷気が入ってくるー、ってうめくんだけど」
B「はあ……」
A「これって、正確には、『冷気がある』んじゃなくて、『熱気がない』んだよね。『冷たい空気が入ってくる』のではなく、『あたたかい空気が逃げていく』んだよね。いちばん冷たいのがデフォルト……というか、基準で、そこからどのくらい熱があるかっていう話だよね」
B「まあ、物理学的には」
A「そう、物理学的には。けど、この、物理学的には、っていうのが……計算上そのほうがべんりだから、そーゆーことにしている、のか、ほんとうにそうなのか、なのかがわかりません」
B「ほんとうに、って?」
A「……ほ、ほんとうに」
B「……」
A「…………中の人は物理が苦手なんだよね」
B「ちょう苦手なんだよね」
A「そうすると、僕たちも苦手なんだよね」
B「ちょう苦手なんだよね」
A「ふべんだよね」
B「うん」
A「……」
B「……」
A「そうゆうわけで僕はさむいのです」
B「……あ、それ、考えこんでるカオじゃなくてさむいカオなのか」