考える人

米澤穂信クドリャフカの順番 (角川文庫)

 入須さんは少し俯いて、目を閉じました。じっと考えています。入須さんが時間をかけてものを考えるところを、私は初めて見ました。緊張感に、体が硬くなります。

入須さんを見る千反田さん。

 折木さんがああして姿勢を固め、目から少し焦点が失われたとき。
 ……あのひとは、考えているのです。

折木君を見る千反田さん。
千反田さんを見る折木君はというと。『遠まわりする雛 (角川文庫)

 頬に手をあて、千反田はしばし考え込む。そうしてじっとして、目も細くしていると、品の良い深窓の令嬢にも見えなくはないのに。

……いや、うん、納得した。たしかに千反田さんは品が良い。表現が。