何度でもまっさらな気持ちで楽しめます

この間、とある本を、タイトルにはなんとなくおぼえがあるけど、あらすじにはまったく記憶がないので、たぶん読んでないんだろう、と思って、そのまんま、既視感もなく、展開も予想できないまま、読み終わって、解説にいたってから、読んだらしい、と気づいたことがありました。友桐夏春待ちの姫君たち (創元推理文庫)』。大幅に改稿、とはいえ……。
また、別の本を、これ読んだんじゃないか、と疑いつつ、展開はまったく読めずにいたら、とあるシーンで、これぜったいに読んだという確信をえたものの、やっぱりラストまで予測がつかないまま楽しく読み終えました。若竹七海悪いうさぎ (文春文庫)』。
唯一、おぼえがあったシーンは、主人公がオレオの食べ方をつっこまれるところ。

「葉村さんさあ、オレオの食べ方ヘンくない?」
「どこがよ」
「はがして中のクリームだけ食べて、あとから外側の黒いとこ食べるなんてさ」

いや、うん、オレオを見るたびに、というほどでもないけど、オレオを見るうちの何回かにいっぺん、ぐらいは思い出すので、なかなか忘れないんだ……。
それにしても、私の記憶力は十五年未満かー。赤ん坊が成人するまでも保てない。もしや、同じ本を、わずかな既視感もなく読み終えて、あとになっても気づかない、というケースもあるのかもしれない。あるのかもしれない! ここまですっぱり忘れられるんだったら、もう、読んだことあるとかないとか、気にすることないな!