変な子だと思われるだろうが、人の悪口だろうと女の話だろうと、五歳の女の子の前で平気で話す大人たちも、おかしなものだ。あたしがいまに、どんな女になるかなんて、誰一人案じてもいない。
……彼女の場合は、「子ども」ではないんですが。「大人」か、というと、それも「?」。本人は、〈麗子〉という変な動物
とか蕭々館の〈座敷わらし〉
とかいってる。「そういうひと」なのだ。
恋愛小説――ですよ。
あたしの〈好き〉は、あたしが女だから好きなのだ。だからあたしは、九鬼さんを欺くかもしれない。裏切るかもしれない。――それは、とても哀しいことだ。