命なら二番目

高河ゆん『源氏』より。「命より大切なものなんてない」に応えて。うろおぼえ。

たしか、一年以上前にこのアンケートを見つけて、言及した……ような気がしてたんだけど、してないですね。
いや、お金が命より大切だなんて、あり得ないんじゃないの、と、思った。
大石圭の『処刑列車 (角川文庫)』という、電車がのっとられて乗客が次々に殺される、という小説のエピソードで。乗客のひとりが、自分の命を差し出すからかわりに娘と孫を解放してくれと申し出るけど、犯人はひきかえにできるのはひとりだけだ、と言う。なので、妻にも死ねって命じて、で、殺される。妻はこわくなって死ぬのを拒否して、けっきょく孫だけが解放される、と。自分の命より大切って、こういうことだよね。このときは、こういう男気を見せれば犯人がほだされてくれるんじゃないかっていう下心があったんだけど。下心があったからかえって犯人はきっちり約束を守ったのか、どうか……。
どんな多額のお金をくれるといわれても、それで死ね、っていうなら、嫌でしょう。保険金のための自殺というのは、あるけど、それは大切なのはお金じゃなくて家族だろう。そうじゃなくても、自殺となると、それだけが動機ってことはないし。
お金に価値があることは間違いないけど、それによって価値ある何かと交換できるから価値があるのであって、お金単体で価値があるわけじゃない。
ちなみに私には自分の命より大切なものはありません。あればいいと思う。