市民の正義

麻生みことそこをなんとか 2 (花とゆめCOMICSスペシャル)』。ネタバレです。
前に加藤元浩Q.E.D.証明終了(27) (講談社コミックス月刊マガジン)』の「立証責任」の感想を書きましたが、同じく裁判員制度にそなえた模擬裁判の模様を描いた話が載ってます。こちらは評決の様子がメイン。大学祭のイベントってことで、裁判員の面子は主婦・大学生・会社員・医師・八百屋・自由業(ってか、職業隠して紛れ込んだ弁護士(主人公))。裁判官役は教授(で、主人公の上司)と学生。
で、殺意があったかどうか、が、分かれ目になるんですが……。

「あの…「さつい」って何ですか?」
「………………常識であれば死ぬであろう行為を そのような行為と分かって行うことです」
「そんなの 本人しか分からないですよね?」
「それを言っちゃ元も子も…」
「それに 動物実験したわけでもないのに 何が「死ぬだろう行為」にあたるのか分からないです…」
そこからですか…

というわけで、教授もたいへん。
この「常識」ってやつもくせもので、ナイフを刺したとき、刺したままにしておいたほうが出血が止められるっていうのは、「常識」か否か? 知らない人が複数いて医師の人がショック受けてました。果物ナイフが殺意ってのは大袈裟じゃないかと、会社員(元チーマー)が言い出すし。
八百屋も。

「男なら! 拳一つを持って行け!」
「でも精神論でなく…」
「正義って精神の問題じゃないのか!!」

かっこいいので流されそうだ。しかし、正義って精神の問題か……? 違うような気がする。
そして心理学専攻の学生は被告人のこころうちを想像(妄想)して弁護士より弁護してしまうのであった。
けっきょくどうなったかといえば。いちおう発言を控えてた弁護士の楽子ちゃんが、仕事に疲れきった、依頼人をブタ箱に送りたいとか言ってた楽子ちゃんが、検察の求刑通りに結審させようと誘導しちゃうのです。裁判官まで流されないので、そうはいかなかったですが……「殺人罪懲役9年」で結審。
そしてみなさんの感想。

「まあ 収まる所に収まったって言うか…」
「まあちょっとさっき俺ら… 確かにおかしかったし」
「何だったんですかねあの空気…」
「夢見てたみたいな…」
「勢いに絡め取られていくような…」
「でも何か…」
気持ちよかった…
(それが怖いんだってば)(←教授のつっこみ)

うーん、こわいけど、ちょっと体験してみたい空気だな、それは……。
そして、別チームでやってた先輩弁護士の東海林さんとこは、思わず「仕事」してしまったらしく「殺意否定で傷害致死懲役3年6月」。この様子は描かれてないですが、見てみたかった……。なるほど弁護士が裁判員になれないわけである。
……。
いや、うん、みんな緊張してハイになってるだろうし、やりようによってはどうとでもできる気がする……こわいな……。