貯金嫌い

十日ほど前に会社でテレビを聞いていたら、堀江貴文氏が大学時代に書こうとしていた卒論のテーマが「インターネットと宗教」だった、という話をしていて、はじめてあの人にちょっと興味を持ったのですけど。まあ、宗教のどういう面に注目するかによるのですが。でも、宗教って時点でもうダメっていう論調で語られていて、なるほど日本人は宗教がお嫌いらしい、と。
もうひとつ、中学のときに「死んだらお金なんて使えないんだから貯金はおすすめしない」ということを書いた、という話もしていて、私もそれはそうだなーと思ったのですが、どうもそれもダメっぽいらしく、どうしてダメなんだとしばらく考えこんでしまった。自分が死んだ後に残す人のことを考えてない、そもそも人といっしょに暮らすということを考えてないってとこがダメってことか。あー、なるほど。
ここでマスコミが「わるいひと」の「心の闇」を探したがることについて語る――つもりはなくて、私が貯金が嫌いなことについて話はうつります。
ここしばらく考えてたのですけど、なんかぴんとこなくて、だけどはてなの「毎月の貯蓄額は?」のアンケートのトラックバックで読んだエントリが見事に私と対照的で、なんとなくわかったような。

4.通帳はマメに見るべし

 どうしてかって? ニヤニヤするために決まってるじゃないか! この瞬間が一番楽しいんだよ!

 自分でも忘れていて、一年後6万円になったのを見たら結構驚くだろうし。そうなったら楽しくなるし、一桁が二桁、三桁になるともう病み付きだよマジで。

このあたり。
つまり私は現金に萌えないのでした。現金で妄想できない。なのでお金を貯めたってちっとも楽しくないのです。

かといって「余った額を貯金しよう」なんて思ったって絶対に余らない。

じつはふつうに生活しているとうっかり余ります、うちは(月に4〜5万円ほど)。ありあまるほど稼いでいるわけではなく(むしろ世間的には薄給のようだ)、貧乏性なので足りなくならないよう無意識にセーブしてしまう、というのもありますけど、基本的には、めんどくさがりなのでお金を使うのがめんどくさいのです。
……いや、めんどくさいんですって、お金を使うのって。時間も消費するし。
私の趣味は読書なので、お金かかんないんですよ。買ったら読むし、ものによったら再読するし、感想も書くし、時間がかかるのです(同じ本好きでも「古書蒐集」の人は本を読まないし、単価が高いし自分で探しまわると交通費も要るしですんごいお金がかかるらしいですが)。そうすると、月に二万も買ってしまうともういっぱいいっぱいです。実際にはそれ以上買っているので積ん読本になるわけですが。
最近は机と椅子が欲しいと思って通販カタログを眺めているのですが、これが眺めているだけで楽しくておなかいっぱいになってしまっているのです(通販カタログは萌え←それって「萌え」なのか)。実際に買うとなると、まず掃除せねばだしな、階段が狭いので搬入できるか測ったりとか。めんどくさいー。
そしてお金が余る。余るってことは、必要以上に働いてしまっているということで、私は必要以上に働くのはよろしくないと思っているらしいので、腹が立つんですよ。仕事の時間と趣味の時間、稼ぐ金と使う金、ぴったり均衡がとれればいいのに、と思います。ここ数年がんばって貯金すれば、あとの人生遊んで暮らせる、というなら話は別なんですが。……いや、それでもやらないかも。やらないな。
で、貯金嫌いな人がお金余らせちゃったらどうするのか、といえば、奨学金の繰り上げ返還。そう、私にはちゃんと借金があるのです。いま思うと、借金つくっといてよかった。こういうふらふらした人はそのくらいの枷がついてたほうがいいのです。返し終わってしまったら親にでも送ればいいでしょう(余ったら送る、というあたりが親不孝)。
こういう風に考えるようになったのは就職してからです。欲しいもの、したいことがあるなら、借金して使ってから返すほうがよい、と。それまでは貯めて使うものだと思ってました。
それにしても、不慮の事態のことは考えてないな。というか、ふつうに老後のことも考えてないよな。どうしてそこまで自分の未来に関心がないのか、自分で自分がわからない。
……あー、お金自体が嫌いなわけじゃないです、好き好き、くれるっつーならもらっとくし、くれって言われてもそうそうあげません。貯めるのが嫌いなだけです。


過去のはてなの質問にこんなのがあったのですが。

月に手取りで、20万もらってます。
ボーナスは年2回、30万ずつもらってます。
でも、年間トータルでみると、貯金は1円もありません。(借金はありません)
もらったボーナスは次のボーナスまでに少しずつ使って無くなってしまいます。
(ギャンブル・風俗などは一切していません。)

この状況の、貯金が1円もできていない事について、どう思いますか。
都内に一人暮らし・勤務、そして未婚、30才ってカンジ〜 orz

なんか、びみょうにかけちがっているというか。貯金しろよ、と思う人は、こうしたら貯金できると言う前に、どうして貯金しなければならないのかを説得力を持って語らなければならないのに、それがふつうだよ、当然だよ、という感じで……危機感がない人に、危機感を持て!ってそのまんま言ってもなあ、というか。「貯金するために目的を持ったほうがいい」(2番)、ってそれ、順序逆だから。いや、つまり、私は説得されませんでした、という話。