「はい」
「はい、って……いきなりなに?」
「ブログ通信簿だって」
「ふーん」
「で、この年齢を上げろっていう指令が、中の人から」
「なんだそれ」
「まだ年齢が上がらなくて困ってるらしい」
「困るの?」
「困るっていうか、不思議らしい」
「それでどうして僕らが」
「ここ十日の分量でいったら、僕らが喋ってる分が多いから、責任とれとかなんとか」
「ふーん……」
「……テンション低いね」
「だってどうでもいいし」
「うん、僕もどうでもいい、人間の年齢ではかられたってね……」
「僕らのせいで年齢が低いっていうなら、もう喋らせなければいいのにねえ」
「でも、口調を除けば、べつに、中の人が書く文章と、内容は変わらないはずなんだよ」
「じゃあ、口調のせいか?」
「でもさ、口調よりも内容のほうが優先じゃないかな」
「……内容と口調の想定年代が違ってたら、内容のほうの年代を優先するってこと?」
「うん、口調のほうがどうとでもなるからね」
「そしたら、なおさら、僕らのせいじゃないよねえ……」
「……」
「まあ、中の人の年齢推定じゃないんだし」
「そう、それは大事なことだよね、なんでそういう注意書きが必要かっていったら、書かれていることだけしかわからないから、なんだよ」
「……あったりまえのことすぎて、あらためて言われるとぜんぜんわかんないよ?」
「人間は、書かれていること以外もわかるって思ってるんだよ」
「……えー、わかるようでわからないなあ、書かれていること以外のことも、合ってるかどうかはともかく、ある程度の推定はできる……っていう前提で、こういうサービスはできてるんだよね?」
「そうだね」
「そういう考え方自体が間違っている、って話?」
「いや、それは間違ってないっていうか、そういうのもありだと思う、そういうのとは違う次元で、書き手のことがわかる、って思ってるんだよ」
「……どういう風に?」
「勝手に行間からにじみでてくる」
「……推定する、っていうのとは、違うの、それ?」
「違うの、考えなくてもわかる、って思ってるの」
「勘、ってときだって、自分では意識してなくても、じつは考えてたりするんじゃないの?」
「そういうのじゃなくて」
「……」
「……」
「……わからん」
「君がわからんわからん言うから僕もわからなくなっちゃったよ……」
「そういうときは、はじめからわかってなんかいないんだよ」
「それはなかなか的確な指摘かもしれない……」
「……うーん、ほんとうにテンションが低い、寝るか」
「中の人が怒るなあ」
「怒らないよ、中の人のテンションが低いんだから」