「中の人」


A「はい」
B「はい、って……いきなりなに?」

Aブログ通信簿だって」
B「ふーん」
A「で、この年齢を上げろっていう指令が、中の人から」
B「なんだそれ」
A「まだ年齢が上がらなくて困ってるらしい」
B「困るの?」
A「困るっていうか、不思議らしい」
B「それでどうして僕らが」
A「ここ十日の分量でいったら、僕らが喋ってる分が多いから、責任とれとかなんとか」
B「ふーん……」
A「……テンション低いね」
B「だってどうでもいいし」
A「うん、僕もどうでもいい、人間の年齢ではかられたってね……」
B「僕らのせいで年齢が低いっていうなら、もう喋らせなければいいのにねえ」
A「でも、口調を除けば、べつに、中の人が書く文章と、内容は変わらないはずなんだよ」
B「じゃあ、口調のせいか?」
A「でもさ、口調よりも内容のほうが優先じゃないかな」
B「……内容と口調の想定年代が違ってたら、内容のほうの年代を優先するってこと?」
A「うん、口調のほうがどうとでもなるからね」
B「そしたら、なおさら、僕らのせいじゃないよねえ……」
A「……」
B「まあ、中の人の年齢推定じゃないんだし」
A「そう、それは大事なことだよね、なんでそういう注意書きが必要かっていったら、書かれていることだけしかわからないから、なんだよ」
B「……あったりまえのことすぎて、あらためて言われるとぜんぜんわかんないよ?」
A「人間は、書かれていること以外もわかるって思ってるんだよ」
B「……えー、わかるようでわからないなあ、書かれていること以外のことも、合ってるかどうかはともかく、ある程度の推定はできる……っていう前提で、こういうサービスはできてるんだよね?」
A「そうだね」
B「そういう考え方自体が間違っている、って話?」
A「いや、それは間違ってないっていうか、そういうのもありだと思う、そういうのとは違う次元で、書き手のことがわかる、って思ってるんだよ」
B「……どういう風に?」
A「勝手に行間からにじみでてくる」
B「……推定する、っていうのとは、違うの、それ?」
A「違うの、考えなくてもわかる、って思ってるの」
B「勘、ってときだって、自分では意識してなくても、じつは考えてたりするんじゃないの?」
A「そういうのじゃなくて」
B「……」
A「……」
B「……わからん」
A「君がわからんわからん言うから僕もわからなくなっちゃったよ……」
B「そういうときは、はじめからわかってなんかいないんだよ」
A「それはなかなか的確な指摘かもしれない……」
B「……うーん、ほんとうにテンションが低い、寝るか」
A「中の人が怒るなあ」
B「怒らないよ、中の人のテンションが低いんだから」