寝正月終わる……

おしるこ食った。口の中が甘い。
チョコレートきらしてるので調達に行かねば、と思いつつ、外に出るのがめんどう。
明日から、出勤。うっかり昼夜逆転させてしまったのにー。寝たりない。


青山剛昌名探偵コナン』。
読んだ/観たことがない人でもだいたいの設定はなんとなく知ってる作品かもしれません。「真実はいつもひとつ!」の人です(←原作で直接この台詞を発したのは一度だけ、だと思う)。
高校生探偵・工藤新一は黒ずくめの男のあやしげな取引現場を目撃し、男にあやしげな毒薬をのまされて(ふつうなら死ぬところを)幼児化してしまう。黒ずくめの男たちの悪事を暴き、もとの身体に戻る薬を手に入れるため、工藤新一が生きていると知られてはまずいので仮の名・江戸川コナンを名乗り、毛利探偵事務所に居候する。情報が集まってくるよう、毛利小五郎を「名探偵」にするため、代わりに事件を解いたり、幼なじみの毛利蘭に正体がばれかけてはごまかし、を繰り返したり。黒の組織に接近しては手がかりが途絶えたり。というあたりはすでにお約束芸。お約束を繰り返してるといつまでもお話が終わらないかのように思えるけど、たぶん、いちおう、話も進んでいる……と思うよ。という感じでただいま55巻。
さて。
めぐりめぐって、つまり主人公の江戸川コナン(工藤新一)のキャラクタがおもしろいのですね。と思った。
常に正義の側に立つ名探偵、である。
けっして犯人に共感しない。
屈折がない。
と、いう意味で対極にいるキャラクタが灰原哀になる。彼女は新一がちっさくなった薬をつくった張本人で、姉を組織に殺されたために組織を裏切り、いちかばちかでのんだ薬で幼児化して逃げ出した、という女性。ある意味たいへんわかりやすい人です。現実ではどうだかわからんけど、読者という立場では彼女のモノローグがみられるので、そのかいま見える部分だけで、もう十分、わかる、というか。灰原哀というのは阿笠博士といっしょに考えた名前なんですが、「アイ」に「愛」を避けて「哀」の字をあてるところからしてわかりやすい。たしかに毒薬をつくってはいたけど、べつに人を殺すことを目的として研究していたわけではないらしい――研究の副産物のようなものだろうか、真の目的がなんなのかはまだ謎――、でもそれで人が死んでいるのは事実で。まともに生きてきていないという劣等感があり、まともに生きていけはしないという罪悪感がある。その彼女がコナンを見ながら思う。

正義感に触発されて後先考えず、真実を追い求めてると思ったら… 誰も傷つけまいと一人でプレッシャーを背負い込んでる…

あなたのそういう少年のような危なっかしい性格… くるおしいほど興味深いけど…
わかっているのかしら?

その清潔な香りが…
彼女や私達…そしてあなた自身を孤独で危険な匂いで縛り上げているのを…

……その表現はなんかエロいよ……! というのはさておき、おもしろいなあ、と思う。
で、例によってというかなんというか、コナンのほうは彼女のことがさっぱりわからないわけです。そもそも理解しようともしてないようなんだけど。で、私はそのへんを、べつに君はわからなくっていいよ、と思っているのです。わからないのがいいよ、と。まあ、男の子に女心はわからん、というレベルの話もまじってるのだろうけど。ぜんぜんわかってない、というのに、それでも彼のことばは彼女の心を大きく揺り動かすんだよな。
もうひとり、黒の組織に、彼を特別視している女性がおりまして……もてるよね! 彼女は、いちおうの正体が明かされてかえって謎が深まった人です。
いや、黒の組織には、ちゃんと(?)、まるっきり悪として描かれている人物もいますけど。江戸川コナン(工藤新一)のまっすぐな正義の人というキャラクタが、絶対的な悪との対比によって引き立っているのではない、というところが、おもしろいのだ。
もちろん、私は絶対的な正義も絶対的な悪も、信じてはいない。絶対的な正義があると信じたいとも思っていない。ので、私が「正義」ということばを発するとどうにも胡散臭くなる。ぶっちゃけコナンにはけっこう無神経なとこがあると思うけど、もともと名探偵ってやつからして、みんなを集めてさてとか言っちゃう無遠慮な人種だからまあいいや。
……正ヒロインの立場はどうなるんだ……!って話ですが。蘭ちゃんは屈折のなさという点ではコナンとかぶるので、存在感が弱い。「目的」が、「新一に無事に戻ってきてほしい」だけ、というのもあるかな。けど、彼は彼女のことを大切にするあまりに、ぜんぶ秘密にして関わらせないようにしてますが、それはあんまり正しくない、と、私は思う。そういうのは、好きじゃない。それが彼らしいところでもあるので、そういう意味では、きらいでもない。ってのが、びみょうなんだ、私としても……。