猫の日

猫の日猫SFを読む。
芝村裕吏『統計外事態』(ISBN:9784150314705)。要約すると「猫最高」です。主人公の行動原理が「うちの猫」。その猫の名前が「猫」。
で、人間は自分を統計の外にいると思っている――たとえ統計を仕事にしていても。と、何度も語られているんですけど、主人公、サイバーテロリストに仕立て上げられて、その理由を考えてたときに、捜査の攪乱のためで、自分が選ばれたのは、ランダムによる選出、つまり、「たまたま」だ――って言うところがおもしろい。ふつうの人は、自分がこんな不運で理不尽な目に遭うのにはなにか特別な理由がある、って考えるもんなんですよ……。まあ、フィクションでは、ここで偶然を使ってはいけないですしね。
でも現実には偶然ってどこにでもあるしね。たぶん。私自身は、自分の身の上に起こったことに意味とか理由とか求めないほうです。たぶん……。なんで「たぶん」なのかといったら、これまで、「なんでこんな目に!」って思うような出来事があったかな、って考えてみても、なんにも思いつかなかったからです。それが、そういう理不尽感のある出来事に遭遇したことがないからなのか、そういう受け止め方をしないからそういう記憶に残らないのか、そもそも昔のことをあんまりおぼえていないせいなのか、わかりません……。