死ぬとか死なないとか

「意識」について考えたときに思い出したのは、ぬいぐるみに意識があるという主張。

SF作家の新井素子の説だが、これに賛成する人は意外と多いのでは無いだろうか。主に子供だろうが。

ただ、物に魂がやどるという考え方はそれほど珍しいものではないだろう。

……子どもじゃないですが。話しかけますようちのクマに。
ただ、意識……「意識」っていうとちょっとよくわからない……心があると思っている、というのとは少し違います。喜怒哀楽などの感情があるとは思っていないし、こちらに話しかけてくるとも思ってません。(いや、そりゃそーだ、ということですけどそれは)。話しかけてこないとわかっているから話しかけるのかもしれない。ただ、何かがあるとは思ってます。私はそのへんのことを宗教の、教義ではない部分――拝んでしまう何かと関連付けて考えてたのですけど――「心」じゃなくて「意識」だ、といえば、そうなのかもしれない、と思った。……けど、「意識」は「意思」を含むと思うので、やっぱり違うのかも。わからない。
で、うちのクマは可愛い。


“あなたの意識をコンピュータに転移することができます。そうすれば、痛みや苦しみも無く、親しい人たちとの別れも無く、自分が無くなることも心配する必要はありません。その場合、あなたは自分の意識をコンピュータに転移しますか、しませんか。”

……うーん。自分の身体が使いものにならなくなったら考えます。ものが美味しく食べられるうちはいいや。たぶん、この場合、味覚は再現できるのでしょうけど。歳をとる、老いる、ということを、もう少し体験しようと思います。
「自殺」ができないのだったら躊躇しますが。
人の身体に寿命があるように、人の精神にも寿命があるのではないか、と最近考えてます。ただし、それはとても個人差が大きいのではないか、と。自分の精神が何年もつのか、そういう興味があります。
けれど、人は自分の人生になかなかけりをつけられないんじゃないか――ということは、前に書いた

でも、そんな大仰なことではなくてですね……もう一度あそこのラーメンが食べたいとかシュークリームが食べたいとかりんごが食べたいとか……なんで食べ物ばっかり……チューリップが見たいとか雪が見たいとか近所の野良猫に触ろうとして逃げられたいとか、そういう些細な未練のために、人は死を選べないと思うのです。もう一度、もう一度、もう一度……そういう小さなことが、果てなく続く。きりがつけられない。


死ぬのがこわいかどうか、ということも、前に書きました。私は「死がこわい理由」質問の回答資格(「怪盗◆」って変換した……)がない。

私は死がこわくないんですけど、どうもそれは自分が死ぬとは思ってないかららしいんですよ。どんな状況だろうと自分だけは助かるって思ってるらしいんですよ。それを、信じてさえいないんです。ほんとうにそう思っているから。アホです。

……なんだろうこの人……(とか呟いてみせて他人のフリをするのはよくないと思うな……)。「死ぬのがこわくない」ではないが、「死ぬのがこわい」でもない。
生き物は生きるようにできているので、基本的に生きようとするのだろう、とは思うものの、生き物は死ぬようにもできている、はず。人間の死の恐れ方はちょっと過剰なのではないか、と柄刀一の『凍るタナトス (本格ミステリ・マスターズ)』(クライオニクスの話)を読んだときに思った記憶がある。いつかみんないなくなる、ということがわかっているから、生きていられる、という面もあるのではないか(死なないと思っている人が言うのもなんですけど)。池澤夏樹の『楽しい終末 (文春文庫)』で、「人間は終末を待っている」というような一節があって、ああ、そうだよなあ、とか思ったのですよ。


同時期にこういう質問もあって、ひそかに注目してました。

死のう、死にたいと思うことって、思いの深さは別にして経験のある方は多いと思うのですが、その理由はなんでしたか?

ライトからヘビーなものまであると思いますが。

「死」と「死に至る痛みや苦しみ」は混同されやすい――が、ひどい痛みや苦しみを味わったとき「いっそ死にたい」と思う、ということに、だいたいの人が納得する、というのもまた興味深いな、と。「死」も、「いちばんこわい」ってわけじゃないんですね? けど、痛みや苦しみよりもリアルっつーか嫌っつーかなのが、「かゆみ」(23番)。……あー、それは嫌だ……。
22番の質問者のコメント。

色々あったんですね。
未来はいいことだらけです。がんばりましょう。

これ、まさに飛び降りようとしている人にぽろっと言ったらぽろっと飛び降りられちゃいそうですけど、私は好きだな、この未来はいいことだらけって。


ちょっとネタを溜め込みすぎたので放出しとけと思ったらわけわかんないことに。
じゃあこのエントリの結論は「うちのクマは可愛い」でお願いします。