神様に関する記述

神様のかたち

今、あなたが読んでいる黒い直線と曲線の連なりこそは神である。正確には神の肉体である。形をもたない言葉であった神は文字に受肉して人類の目前に姿を顕された。それゆえ、神への不信の理由として「目に見えない」を挙げる人は古い認識をあらためなければならない。現在の神は「目に見える」。

「ことば」という神様。

「人間が社を建てて拝んでいる神は、薄い影のようなものだよ。神は本当は一所にはとどまらない。けれども、感応しやすい土地や場所というのは事実あるから、ある日だれかが祭り場にするんだろうな。鳥は、場所をさだめない。鳥の神殿は、光と光の角度と時間だ……飛べない者にはちょっとわからない感覚だろうな。光とともに飛ぶんだ」

光。

「蚊なんて人がいつも無造作に両手で潰しているだろうが。神様なんて意外にそんなもんなんだ。近くにいる。人はそのありがたみにも気がつかず、平気でぱちんぱちん、叩いて殺しちまってる。神をな。それでも奴らは怒りはしない。神だからだよ。潰される瞬間、『またか』なんて笑ってしまうくらいだろうよ。俺たちが日常的に殺しちまっているもの、そういうものに限って神様だったりするんだ」

そこらにいる、どーでもいいもの。人間には価値のわからないもの。

神は生命(いのち)です あなたに生命がないなんてありえません
 まだ人や獣が生まれる前からこの世界に満ちていた生命達を 我々は神と名付け共に生きてきたはずなのです」

生命。いのち、そのもの。

「あなたは神を信じますか?」

「神の語る言葉を疑うとは不敵な奴」神様は大声で言い、オトヒコくんをはっしと睨みつけます。オトヒコくんはかれいの次のほうれん草のごまあえにかかりながら、ふんふんと頷きました。
「疑ってるんじゃないよ」
「ふむ、そうか、まことにそうか」
「ぜんぜん信じてないだけだよ」

あああっっ……

あれはどういうんでしょうねえ。神様なんて信じていないくせに、それがいないとなると怒りを感じるというのは……

やつあたり先。

「不幸なのは、神が人間を無視しているにもかかわらず、人間は神の輝きを感知してしまうことなんだよ」

片想い。

神様はダイスを振る

「原始民族の神は、確かに世界と人間を創造した。しかし、創造の後、この神は木の上に登って、日がな一日寝転んで、無為な遊びに耽っていた――」
「その無為な遊びというのは――」
 老人が後を引き取った。
「――例えば、骰子遊びのような」

 私は思わず椅子から立ち上がった。そして最前から心にわだかまっていた問いを老人にぶつけた。
「その神の、別の名は――?」

 守屋老人は少し間をおいてから、その言葉を口にした。

「偶然」

あそばれている!

おしごと

「よい人をすくってくれて、悪人を罰してくれる神には、まだ一度もであったことがない。」

神様ってば、なまけものなので……

ひょっとしたらこの惑星に神さまはちゃんといるのかもしれない。それはもう完全無欠に立派で公平な人格者で、強い者にも弱い者にも、お金持ちにも貧乏人にも、ただ平等に見守るだけで決してどちらか一方をえこひいきして手を差しのべるなんてことはしないのだ。なんてありがたい神さまなんだろう。死んじゃえ。

少女の断罪は苛烈だ。

「天の裁きだって? 神の御手のなせる業か。勝手なことをしてくれるじゃねぇか。裁いていいと、誰がてめぇに言ったんだ」

仕事をしても怒られる。

いい奴

 おれは思うのだけど、この皮肉で残酷な世界をつくったどこかの神様だって、もしかしたらすごく善良でいいやつなのかもしれない。空のうえから哀れなおれたちを見おろして、きっとため息をついていることだろう。

むしろ君がいい奴だ。

神とは、あえて即物的な言い方をすれば、溺れる者が自ら作り出す藁です。

ガキの頃学友だった奴が 学殿で飼っていた虎の檻に落ちて泣き出した事がある

「お母さーん
 うわああん お母さーん」

いや そこでお前の母親呼んだって
お母さんも死ぬと思う…………。

でもそれは神だ

あいつにとってあの瞬間母親が神様だったんだろう

かーちゃんはつよいよ。

すべての根底に

「ではその“神”の定義というのはきわめて原始的なものと解釈せざるを得ませんが。つまり――生きているという不条理を、すべて納得させてくれる万能の存在であり、それに影響される、されない以前に――その在りようが全行為の大前提となる、と」

「社会」のなかで息も絶え絶え

「わたしの信じていた神さまは、気がつくとまるで聖職者たちの価値観の囚人となっていて、看守がいなくなると飢えて死んでしまうのです」

何を食べる神様なんだろう。

名前を呼ぶ

「人はその人間の名前を知っていれば・・・・ そいつの話を聞く

 誰もが知っている名前を持てば誰もがその人間の話を聞く・・・・

 誰しもがその言葉に耳をかたむける存在・・・・ それが神だろ?」

……んー、あまのじゃくな奴もいるよ……。

存在――実在

「そもそも僕は、どちらかというと無神論に近い見解を持っている方だしね。僕は純粋に学術的興味でたくさんの神の御業とされている事象を調べて知っているけれども、それを見る限り神様のやることは実に気まぐれで、実に意味も脈絡もない。神様は確かに平等だと思うよ。あまりにも平等すぎて、ランダムと言っていい。“完璧にランダム”ということはね、“存在しない”ということと同じだ。少なくとも僕は、そう思うよ」

「完璧」に「ランダム」だなんて、それこそが神様じゃないか、などと思ってしまうが。

「神様は在りますか」
「それもよい指摘です。在りますよ。在るから皆さん、在る、無いと大騒ぎです」
「それは、在るということの証拠ですか」
「無い物に名前は付きません」

……その理屈は危険だ……。